FC2ブログ

14.横歩取り基本図の形勢判断

今回は横歩取りを大きな観点から見てみます。
初手から
▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金

横歩取り基本図
この局面を横歩取り基本図とします。

まず、この局面を分析してみます。

横歩取り基本図の形勢

1.
持ち歩は3枚と2枚
持ち歩の一枚の価値は流動的だと言われています。
0枚と1枚の差が一番大きく、
1枚と2枚の差はそれより小さくなり、
2枚と3枚の差はさらに小さくなります。

こんな感じ
持ち歩の価値

持ち歩は香車の直撃を防いだり、底歩を打つなど将棋の技法に係わっています。
そのため、歩切れ(持ち歩が無い状況)はかなりのマイナスポイントだとされています。
0枚と1枚の差はとても大きいいのです。
しかし、歩が1枚で受かる状況で、歩を2枚持っていても1枚は使いません。
このため、1枚目と2枚目の価値に差があります。
実際に使用する機会が減っていくため価値が小さくなるのです。
そしてそれは2枚目と3枚目でも同じです。
 ※歩は18枚なので相手の枚数にも関係しています。

さて、横歩取り基本図の持ち歩の枚数は3枚と2枚なので、
持ち歩の差はそれほど大きくないかもしれません。

2.
次に駒の損得ですが、先手と後手で歩が一枚違います。
先手の主張はこの駒得です。
はたして持ち歩が多いこの戦形でこの歩得が活きるのでしょうか?

3.
次は歩の打てる筋です。
先手は2筋8筋、後手は2筋3筋8筋
後手の方が多いです。
そして、3筋に打てること、7筋に打たれないことが後手の主張でもあります。
中原囲いは銀の横に隙があるので、ここに歩を打たれると困るのです。

中原囲いの急所

この局面から△3九歩成▲同銀と進むと4七と5七の歩の紐が切れます。
歩の紐が切れたところに飛び道具が成り込む筋を横歩取りでは狙い易いです。
また、△3九歩成に放置すると△3八とが極めて厳しいです。
そのため、銀の横に歩を打たれない後手だけが中原囲いを採用できるのです。

4.
最後、飛車の位置は先手は3筋、後手は8筋です。
飛車は歩の打てる筋にいると攻撃力があります。
後手の飛車は現状攻撃に大変有利な場所に居ます。
先手の飛車は2筋に戻るために手を掛ける必要があります。


どうです?なんだか横歩取り基本図は後手有利に見えてきませんか?
また、角換わりは手番の差がくっきりと出てきますが、
横歩取りは他の点での違いが大きいため、手番の差をぼかしています。
居飛車対振り飛車の対抗形と同じく、先手後手でコンセプトが違うのです。


後手は横歩取り基本図から後手の選択肢を見てみます。
それぞれに簡単な説明を付けました。

1.相横歩取り
横歩を取られたので、後手も横歩をとってバランスをとる手です。
相横歩取り
基本図から△7六飛とすると▲2二角成△3三歩▲3二馬△同銀▲2四飛△2三歩▲2八飛で金損と2二に傷が残るため、単に横歩はとれません。
そのため、
△8八角成▲同銀△7六飛とします。
先手の7八の金取りの受け方次第で戦形が変わってきます。


2.4五角戦法
△8八角▲同銀とした局面が、8八の銀の紐が7八の金だけであることに注目し、△8八飛車成りを目指した戦法です。
4五角戦法
飛車取りと金の紐を外すための6七角成りを見合いに、△4五角をねらいます。
単に△4五角だと▲2四飛△2三歩▲2八飛で8八の銀に飛車の紐がつくので、実現するため先に△2八歩▲同銀の交換を入れておくのが急所です。


3.3八歩型
同銀とさせて2八に隙をつくる指し方。
同銀の後すぐに△2八歩は▲7七角から強く攻められて悪いので、△2八歩は時期を見て指します。
△3八歩▲同歩の後は△3三角か△4四角。

3八歩戦法3三角型

3三角型は横歩を取り二筋に回るねらい。△3八歩▲同銀の交換のため▲2八歩と打てないのが後手の主張です。

3八歩戦法4四角型

4四角型は横歩を取ったあと、△7四飛として7七角成の王手で飛車のす抜きを見せる手。△2八歩を含みに残しています。


4.3三角型
現在の主流です。
直接の狙いは、▲2二角成りを防ぎつつ、角交換を形よく取り返すための手です。
3三角型

ここから、
中原囲いを急ぐ指し方と
5二玉として3筋からの攻めにあらかじめ備えて囲う指し方があります。


5.3三桂戦法
角交換を防ぎ持久戦を目指す構想です。
3三桂型
角交換が無いため狙い通り持久戦になり易いです。


6.4一玉型
▲2二角成りのときに△同銀と取れるようにした手です。
4一玉型

3三角型と違い▲2四飛を許すため、二筋に一手で戻れます。
しかし、後手も横歩が取れ、△8八角成りを見せることができるため意外と難しいです。
ちなみに、横歩を取るとどちらも中原囲いにはしづらいです。
人気が無いが後手の勝率が高く(手持ちのDBで六割超え)有力だったりします。


7.8二飛車型
飛車を深く引いて使う構想
8二飛車型
横歩を取ったことを咎めに来ないので、先手不満なしですが、そこまで大きな差はありません。
▲8三歩△5二飛車▲8四飛△7二金などが一例
定跡が整備されていないことが利点です。


これだけの候補手が横歩取り基本図にあります。
このうち一つでも先手に勝てる戦形があれば後手は良いのです。
これが大きな観点から見た横歩を取らせた利点だったりします。
相居飛車後手は、横歩取りを選べて、さらに、横歩取りの太い枝も選べる権利があるのです。

次回は個々の戦法について書いていきます。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

No title

はじめまして。
持ち歩の価値をあらわしたグラフが興味深かったです。

横歩取りの将棋は、矢倉や対抗形(美濃、穴熊)と比べて囲い崩しの急所があまり体系化されていないことが、アマチュアから見てわかりづらい原因の1つなのではないかと個人的には思っています。もちろん、強い方は経験的に急所を知っているのでしょうが。

中原囲い、中住まいの急所をまとめてみたら面白いかなと思いました。私も色々と研究してみたいと思います。

これからも楽しみにしています。
プロフィール

shishikoma

Author:shishikoma
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR