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9.横歩取りの序盤の話

横歩取りの話をしましょう。
と言っても今回は序盤の話です。
まず横歩取りとはの確認です。知っている人が多数と思いますが一応です。



15手目に先手が飛車の横にある歩を取るから横歩取りです。
最近よく見ますね。「横歩三年の患い」とは何のことやらです。
この15手目の局面になる変化にはいろいろなバリエーションがあります。
例えば後手8四歩の変化だけでも

これだけの変化と含みがあります。
これでもまだ抜けている変化があるので難解ですね。

※上の盤には
1.横歩取り基本図まで
横歩取り基本図

2.横歩取り2三歩型
横歩取り2三歩型

3.零手損角換わり
零手損角代わりの変化

4.一手損角換わり
一手損角代わりの変化

5.嘘矢倉
嘘矢倉の変化

6.後手3三角戦法
7.先手7七角戦法
後手3三角戦法

8.矢倉導入
矢倉導入

9.振り飛車導入

があります。
また、重複する変化は途中で面倒になったので書かなかったところもあります。
金の上がるタイミングや歩を突くタイミングを変えた枝の先に、変化が載っている可能性もあるので、お暇なら探してみてください。

さて、前置きが長くなりましたが何がしたいのかと言いますと、
どの手順で横歩取りに組むのが一番含みが多いかという話です。
まずは初手▲7六歩です。
居飛車、振り飛車ともに指せる「ザ・普通の手」
初手76歩

初手▲2六歩ですと居飛車に限定している意味があります。
▲2六歩からは相掛かりの出だしになります。
横歩取り角換わりになる変化はありますが
矢倉や振り飛車にするには、捻った指し方が必要になります。


2手目は△3四歩でしょうか?
後手番の選択肢は居飛車、振り飛車ともにある△3四歩が一番多い気がします。
しかし、振り飛車を指さないなら△8四歩の方が居飛車としての選択肢は多いです。
まず、零手損角換わりをするには、角道を止めたまま飛車先を伸ばす必要があります。
このため2手目に角道を開けることはできません。
2手目8四歩

また、矢倉を目指すにも2手目△8四歩が普通です。二手目△3四歩から嘘矢倉で矢倉に組むと、▲3五歩を受ける△6四角型にするためには一手損する計算になります。そのため自然と急戦や別の変化を選択することになり、矢倉自体の選択肢を狭めることになります。
しかし、矢倉をどうしても指したいというなら2手目は△3四歩から嘘矢倉にする順も選べます。他の戦形が後手不利であり嘘矢倉でも矢倉は互角だと考えているなら、しょうがないです。
もし2手目△8四歩から▲2六歩△3四歩▲2五歩とされると矢倉にはできません。
まとめると矢倉原理主義でない居飛車党は2手目△8四歩が不自由なくて良いということになります。
嘘矢倉は4二角型

2手目△8四歩として
3手目はどうでしょうか?
ここは特に広いです。
まず3手目▲6六歩です。
6六歩は振り飛車の様な出だしですが、後手が△8五歩を指さなければ▲6八銀または▲7八銀から矢倉に組めます。また、後手△8五歩は向かい飛車にしやすくなるので、後手が敬遠する傾向があります。対振り飛車なら三間、四間、中飛車に限定するため△8五歩を突かないのが主流です。
藤井九段が指すのもこの▲6六歩です。振り飛車と矢倉を指す方には2つの選択肢が自然な形で残ってます。
藤井九段式矢倉組み

次に、3手目▲7八銀です。
振り飛車と矢倉や雁木が自然です。
角の紐がこの瞬間切れているので3四歩のあとすぐにフォローが必要です。
実は選択肢が6六歩型より減ってるのでこの手はあまり勧められません。
つまり4手目△3四歩で▲6六歩か▲7七銀がほぼ強制になります。
3手目▲6六歩からの変化だと、△3四歩の後、▲7八飛、▲6八飛、▲5八飛、▲7七角、▲5六歩、▲2六歩と選択肢がたくさんあります。
また矢倉になった場合、7八銀型のままだと▲7八金で角に紐を付けることができません。
▲7七銀を保留して金で角に紐を付けて戦う変化も矢倉急戦にはありますので、矢倉にしても選択肢が減っていることになります。
含みが少なくなることが負けることではないですが、あえて選ぶ理由に乏しいのは確かです。
3手目7八銀

次、3手目▲6八銀です。
矢倉を見た手です。
▲7八銀より矢倉にした場合、選択肢が多いです。
振り飛車にもまだできますが、あえてこの順を選ぶ必要は無いです。振り飛車の変化は減ってます。
矢倉導入

次、3手目▲5六歩です。
先手中飛車特に位取り中飛車を指すにはこの手になります。
居飛車も残ってますが、序盤に5筋の歩を突いたあと居飛車にして得な変化は知りません。
理由は△5七角の傷がいきなりできること、4九の金を退かすと△3九角があることが先手の駒組を制限していることです。
この手は居飛車にするには選択肢が減ってます。

次、3手目▲2六歩です。
居飛車宣言です。
陽動振り飛車にすることもできますが、あえてするほど陽動振り飛車にメリットは無いです。
次の4手目△8五歩で普通の矢倉の変化もまた消えています。
嘘矢倉は残りますが、組み上りは森下システムになります。
森下システム

また4手目△3四歩から▲6六歩△4二銀なら▲6八銀で普通の矢倉も指せますがこれは後手の選択次第です。
3手目▲2六歩この手で先手は戦形の選択権を殆ど後手にゆだねることになります。
この後、もしどうやっても不利な変化を避けることができない場合は、この手が敗着となります。
26歩の変化

3手目おまけ
飛車を振る
居飛車拒否です。
え?居飛車拒否ですか?
振り飛車党でしたか。
shishi_komaは居飛車党ですので振る変化は後手の居飛車持ちです。
先手有利な変化は他を当たって下さい。

3手目▲2六歩の後
ここから後手が戦形を選択します。

4手目△8五歩
零手損角換わりを目指します。
零手損角換わりとは一手損角換わりが出てきたので従来の手損をしない角換わりについた名前です。
▲7七角と飛車先を受けます。△3四歩と角道を開けます。
先手は角交換後の飛車先の受けを作るため▲8八銀とします。
もしここで▲6八銀とすると、後手が△4四歩から嘘矢倉に組まれたとき、先手の角と銀の位置を変えることができないので雁木にすることになります。銀の上がり方で矢倉と雁木の選択になってます。しかし、後手は先手が選択した戦法(矢倉、雁木)か角換わりかを選ぶことができます。大雑把に言って嘘矢倉は後手損、雁木は先手損なので先手が8八銀と矢倉を選んだら後手は角換わりを選びます。
▲8八銀の後、後手は△7七角成と角を換えます。
金の上がりあう交換を入れることもありますが、先手に嘘矢倉の権利を与える分損です。
おそらく選択しないので差は微妙です。
(注:麻雀で表すと、一枚づつの三元牌の切る順で、緑一色のために発を最後にするくらいの得です)
また、▲8八銀の代わりに▲6六歩から嘘矢倉にする順もあります。
しかし、この順で嘘矢倉に組むより、3手目▲6八銀から矢倉に組む方が、矢倉の変化は手広いので、嘘矢倉を選択するメリットはあまりありません。

次、4手目△3四歩です。
横歩取りと一手損角換わりの変化が普通です。
この後、先手が金を上がっても、飛車先を伸ばしても、選択肢は後手にあることに違いはありません。

次、4手目△3二金です。
横歩取り、零手損角換わり、一手損角換わりの選択肢を残してます。
一番選択肢が多いと思います。
3二金の変化

まず4手目△3四歩の後から
5手目▲2五歩
選択肢に変化なし。後手が横歩取りか一手損角換わりを選びます

5手目▲7八金
選択肢に変化なし。後手が横歩取りか一手損角換わりを選びます

5手目▲6六歩
嘘矢倉になります。損な矢倉の組み方です。また、雁木に組む事もできます。

次4手目△3二金の後の変化

5手目▲2五歩
後手は6手目△3四歩から横歩取りか一手損角換わりの選択肢があります。
また、6手目△8五歩から変化は
▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成りの零手損角換わり
▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩の相掛かり
▲2四歩△同歩▲同飛△3四歩の横歩取り
の変化があり零手損角換わりの拒否権が先手にあります。

5手目▲7八金
選択肢に変化なし。後手が横歩取りか零手損角換わりか一手損角換わりを選びます
6手目△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成りの零手損角換わり
6手目△8八角成り▲同銀△4二銀の一手損角換わり
6手目△3四歩は横歩取りか一手損角換わりの選択肢が後手に残ってます。

そろそろ枝を追うのも辛くなってきたのでまとめます。

初手▲7六歩とするのがいちばん手広い

2手目は振り飛車にするなら△3四歩、居飛車にするなら△8四歩が不自由が無い。
矢倉しか見えない方は2手目△3四歩から嘘矢倉にすると先手に拒否権が無い。

2手目△8四歩のあと
3手目は矢倉を目指すには▲6八銀
3手目▲6六歩は4手目△8五歩と普通の矢倉を後手が拒否できる
3手目▲2六歩を指すと選択肢の多くは後手が握る

実はここまでで言いたいことが出揃ってます。
つまり相居飛車にするには
▲7六歩△8四歩から始まって
▲6八銀で矢倉を選択
▲2六歩で居飛車を選択、細かい選択権を後手に渡す
▲6六歩で矢倉、振り飛車の選択権を後手に渡す
となります。
実は三手目ですでに、先手居飛車は矢倉(雁木)しか優先的に選択することができなかったのです。

居飛車の戦形選択権のほとんどを後手が握っている。これが相居飛車の序盤です。
「横歩取り」が実は「横歩取らせ」であると言われる理由です。
長く書きましたが言いたいことは次の一言です

横歩取りは後手が選んだ戦法、後手有利な変化を知ってから指せ



一番上の盤の最後の形を横歩取り基本図として使っていこうと思います。
横歩取り基本図

次回は横歩取り基本図からの変化を書きたいですが、まだそこまでの局面に疑問が残ってますのでそこから書きます。
つまり、
なぜ金を上がる?
なぜ横歩を取れる?
の問題です。

最後に、このブログに書かれたことはshishi_komaの私見がたくさん入っていますので、鵜呑みにすると大変なことになるかもしれないので注意してください。もし、何かあっても責任は持ちませんよ。
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10.3三角戦法という存在

横歩取りの話の続きです。
今回はなぜ2四歩を突く前に7八金とするのかについて書きたいと思います。
飛車先の歩を伸ばしていったのに、▲2四歩を決行する前に金を上がるのは一貫してないように思えます。
相掛かり△8七歩の変化は角道が空いているため無いのです。
参考:相掛かり△8七歩の変化


8七歩が無いのでとりあえず2四歩としてみますか。
 3三角戦法

これで後手優勢と言うわけではありませんが、先手はここから左に玉を囲い、後手は7七の桂馬を攻める戦いになるため先手が面白い変化ではありません。
棋譜を見て気付いた方も多いと思いますが、この変化に似ている変化がゴキゲン中飛車にあります。


▲7七桂▲3八銀の変化は桂頭を攻めてゴキゲン中飛車が勝ち易いようです。
▲7七銀▲4五角で互角の戦いになります。

では横歩取り型の3三角戦法のときも7七銀でいいのでは?
7七銀の変化

「と金」と「歩得」の戦いです。

この変化が嫌な場合は後手は3三角戦法を採用しないこともできます。
△3二金
△3二金と上がる
先手は横歩を取れないので飛車を引くことになります。
もし横歩を取ると

馬の存在が大きく後手が良いと思います。
よって横歩を取りたいなら6七の歩に紐がついている必要があるのです。
▲7八金は8八の角と6七の歩に紐を付ける一石二鳥の手でした。
相掛かりは有力ですが枝が多いのでここでは追いません。

次に、横歩を取るために▲7八金と上がった後を考えます。
後手の金上がりを省略するとどうなるでしょうか
△8六歩▲同歩△同飛の変化が気になります。
3二金と上がらない変化
これについては次回書こうと思います。

11.7八金型の話

横歩取り序盤の話の続きです。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛
先手は定跡通りに進めてきましたが、後手が3二金を省略して8六を先行した場面です。

3二金と上がらない変化

先手はこの局面の選択肢として
1.▲2二角成り△同銀▲7七角
2.▲2四歩△同歩▲同飛
3.▲8七歩△8四飛
の三つの道筋を選ぶことができます。

結果から言いますと
1は無理筋
2は有効
3は後手の主張が通る
となります

まずは1.▲2二角成り△同銀▲7七角から見ていきます。

後手は8二飛と引いても8九飛成としても指せます。
前回紹介した3三角戦法に比べて
1.飛車回りのためには金上がりが必要なこと
2.金銀の柱が桂馬に弱いこと
があり不利です。
飛車を引かせてからの無理攻めは、金を上げている分受け易いですが、やはり攻めが切れています。

次に2.▲2四歩△同歩▲同飛を見ていきます。

後手は3二金と横歩取りに戻すのが最善でした。
△8八角成りから暴れても後手良しにはなりません。

最後は3.▲8七歩△8四飛です。

相掛かりの互角の勝負になりますが、先手は後手の主張が通っているのが不満です。

以上で7八金型に3二金を省略して
△8六歩とすると
▲同歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛△3二金
となり、
この道から外れた方が不利になるので、横歩取りの形に合流します。
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